研究内容

本研究室では、北海道大学病院検査・輸血部、超音波センターおよび心エコー室の技師/医師の協力を得つつ、超音波検査を用いた研究を行っています。主な研究テーマは以下の通りです。

心エコー法を用いた非侵襲的血行動態評価法および心機能計測法の開発に関する研究

心エコー法は、血行動態と心機能の両方を非侵襲的に評価できる検査法であり、心不全診療には欠かせないツールです。これらの最も正確な計測には、心臓カテーテル検査を必要としますが、この方法は侵襲的であり、わずかながらも危険を伴います。そこで、私たちは、心エコー法を用いてこれらを非侵襲的かつ正確に推定するための研究を行っています。具体的には、左室拡張機能、肺循環動態と右室機能の計測法の開発に取り組んでいます。

心エコー法を用いた心疾患の診断手法の開発と病態解明に関する研究

超音波検査は、人体内の構造、動きおよび血流などの豊富な診断情報を、非侵襲的かつ安全に評価でき、比較的コストも安く、高齢者にも繰り返し実施することができる優れた検査法です。私たちは、この超音波検査、とくに心エコー法を用いて、心不全、心膜炎および肥大型心筋症などの新しい診断手法の開発や病態解明に取り組んでいます。

心エコー法を用いた心疾患患者の予後予測に関する研究

心不全は心疾患による死亡の大半に関わる重篤かつ頻度の高い合併症です。心不全の有病率は、人口の高齢化や生活習慣病の増加に伴い、世界的にますます増加すると予想されています。これまでの多くの研究により、心不全患者の予後が、左室拡張機能や右心機能の良否に左右されることがわかってきました。そこで、私たちは、非侵襲的な心エコー法で左室拡張機能や右心機能の評価を行い、心不全患者の予後を予測する研究に取り組んでいます。

心臓以外の臓器を対象とした超音波法を用いた研究

私たちは、上述の心エコー法を用いた研究の他、頸動脈エコー法による危険なプラーク(粥腫)の診断法や超音波センターとの共同研究として、腎静脈血流速度波形に糖尿病や高血圧の有無が与える影響、結晶誘発性関節炎の超音波画像所見などについて研究を行ってきました。